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【詩】原点
閉店後…

看板、照明、全ての機材の電源が消されて

ただ、店の一番奥の狭い部屋の照明だけが灯されている

この部屋の北向きには窓があり

すぐ裏の物置が邪魔で

特に夜は、外の明かりが差し込むことはない

俺はこの部屋のテーブルの前に立ち

その隅に置かれた砥石を見つめている

テーブルのすぐ横には

ホロー製の大き目の流し台があり

その中に水を溜めて

いくつもの砥石を沈めてある



俺の手の中には

一本の剃刀が握られている

しばらく砥石を見つめていると

一つ深呼吸をした

そして一歩砥石の方に近づき

ゆっくりと剃刀を砥石の上に乗せた



"シュー、シュー、シュー"



剃刀は、ゆっくり砥石の上を滑りはじめた

今では店で使うことのなくなった、この剃刀…

俺は、何かを思い出すように

時々、こうして砥石に向かう



"シュー、シュー、シュー"



無音に近い店の中で

砥石の上を滑る剃刀の音だけが聞こえる



"シュー、シュー、シュー"



砥石の上で剃刀を滑らせながら

子供の頃、同じように剃刀を研いでいた父の姿を思い出していた



"シュー、シュー、シュー"



俺は幼い記憶を辿った…

祖父もまた、同じように剃刀を研いでいた



そこには、仕事にかける静かな情熱があったはず

そこには、仕事にかける熱い想いがあったはず

僕は確かめるように砥石の上を剃刀を滑らす…



祖父の想い…

父の想い…


今では使うことのなくなった剃刀を研ぐことで

俺の仕事の原点を呼び覚ます

明日の出会いのために



【詩】あの日と同じ海
去年の夏、あいつと二人できた同じ海

真冬の深夜、砂浜に一人たたずんでいる

風はそれほどない

空気が凍てつく

時々、耳元をかすめるように音を立てて北風が通り過ぎる

俺は首をすくめてダウンのジッパーを

一番上まで引きづり上げた

キラキラと月明かりに照らされる海面

薄ぼんやりと遠くに見える水平線

あの時見上げた青空

今夜は満天の星空

手をかざしても覆いきれないほど

眩しい日差しの中

俺たちは戯れていた

あの日とは全く違う海の表情

少しの疑いもなく俺を向かえ

優しく包んでくれている



周りには誰一人いない

空には月と星

そして、その光は海面を彩る

時折強く

そして、優しく引いていく波の音色

その全てを俺一人が独占している

どれくらいの時が過ぎただろう

気まぐれに吹き抜ける潮風が

ほんの少し温かく感じてきた



俺は遠くの水平線を見つめ

この広い海の向こう側でも

俺と同じように

俺と向き合うように

同じ海を眺め

心の傷を癒してる奴がいる

そんなこと想っていたら

いつの間にか真冬の海に向かって

微笑んでいた



あの日とは全く違う海の表情

少しの疑いもなく俺を向かえ

優しく包んでくれていた



【詩】恋心
なんで笑顔でいられるんだろう

なんでイライラするんだろう

どうして涙が溢れてくるんだろう



あなたは何処にいるの

あなたは何をしてるの

どうして胸がこんなに苦しいの



なんで恋なんか…

なんであなたを…



あなたを想うたび

心の居場所が変わる

時に切なくなる

時に楽しくなる



あなたを好きにならなかったら

わたしは誰かを好きになれたのかな

あなたの優しさ知らなかったら

わたしは優しくなれたのかな



あなたは輝いてるわ

わたしは輝いてるのかな



ねえ、苦しいの

ねえ、切ないの

でも、楽しいの



この心…

届いているのかな

たぶん…

届いていないよね

もし届いたら…

愛してくれるのかな

嫌われるのかな



壊れるくらいなら

このままで…

実るはずもない恋

それでもいいの

あなたを好きでいられる充実感

ずっと、それだけでいいの

わたしは自分に嘘つきかな

壊れるくらいなら

このままでいたい

わたしへの優しさが

愛に変わらなくても

このままでいたい



お願い…

このままずっと

好きでいさせて



【詩】空は青いのに
無表情な人波

それを飲み込んでいく建物

空は青いのに

誰も見上げようとしない

ガード下で猫が戯れている

こんなに可愛いのに

誰ひとり気に留めない

どうしてだろう

僕には温度を感じない



街の中

電車の中

人々を眺めて思う…



ホントは

みんな一人一人

頑張って生きてる

その無表情の表側は

きっと…

喜怒哀楽に満ちた

ステキな人生だと…

僕は信じる



東京の空だって

こんなに青いんだよ

ちょっとだけでいいから

見上げてみようよ



きっと・・・

優しい気持ちになれるよ


【詩】夢へと
思えば…

いつからこの業と共に生きているのだろう

高校を卒業して、専門学校へ入学してからだろうか

それとも修行先の店に入店してからだろうか


いや、そうじゃない…

床屋の三代目として生まれた僕は

そう…生まれた時からこの業と共に生きている

幼いながらも、父の背中を見て育ち

その背中に憧れを抱きながら育ってきた

時が経ち、僕自身もこの業を職とした頃から

憧れは目標と変化した

いつかは父のようになりたい…

その思いは自分自身を奮起させた



中途半端な気持ちのまま

この業に飛び込んでしまった僕にとって

父という目標が

自分自身の支えになった



さらに時が経ち

目標は超えていかなければならないことに気づいた

どんなに努力しても…

どんなに喰らい付いていっても

僕にとっては高すぎる壁

幼い想い出の中の父の背中が

嘲笑っているかのようだ

「お前にはこの壁の先へは行けない」

そう言っている



それでも僕は、我武者羅に父の背中を追いかけた

追いつけない…


何故追いつけないんだ

このまま父には追いつけないのだろうか?



ある日…唐突に父が"ポツリ"と言った

「猿真似は、所詮猿真似…」



その言葉の意味を理解できないでいる僕は

ただただ…、父の背中を追い続けた



そして…

もがき苦しみ、疲れ果て、

呆然と自分の足元を見詰めた



僕の足元には…

しっかりと刻まれた父の足跡が残っていた

そう…

ここは父の歩いて来た道だった



僕は父の歩いて来た道の上を

ただ、なぞるように通ってきただけだった

道の上にいる父は

後ろを振り返ってはくれない

僕は、しばし父の背中を睨んだ


何も語らない父…

しかし、僕には父の背中が一瞬つぶやいたように思えた

「ここまで良く付いてきたな」

「だが…俺の後を追うのはここまででいい…」



僕は途方にくれ、父の背中に叫んだ!

「俺は親父を超えるためにここまで追って来たんだ!」

父の背中は何も言わずに歩き出した



僕は歩き出す事ができなかった

ただ呆然と、確実に歩き続ける父の背中を見詰めるだけだった

父の背中が、だんだん小さくなり

やがて見えなくなった…

でも、足元を見れば

そこには父の歩いて行った足跡が残っている



僕は迷った…

父の後を、さらに追いかけるべきだろうか

別の道を探すべきなのだろうか?


しかし…

父の歩いて来た以外の道はどこにもない



またしても、僕は途方にくれた

そして、父の残していった足跡を眺めていた



どれくらい時間が経ったのだろう

僕は立ち止まったまま

父の足跡だけを見つめていた



僕は"はっ"とする思いがした

目の前の足跡に、父以外のものはない

父は誰も通っていないところを

一人で歩いて来たのだ



「君は分かったようだね」

そう僕に話かける人がいる

声の主はすぐそばにいるようである

でも、僕からは見る事ができない



しばらく沈黙が続き

僕は話しかけてみた

「おじさんは誰なの?」

すると…

「親父さんの仲間だよ」

「同じ時代を歩いて来た仲間なんだよ」

「それぞれ別々に歩いて来たんだ」

「そう…、近づいては離れ、時には励ましたり慰め合ったりしながらなぁ~」

「まだ君には見えないかも知れないけど、ここには大勢の仲間がいるんだよ」

彼は優しくそう答えてくれた



「どうして同じ道を歩かないの?」

僕は、さらに話しかけた…すると

「そうだなぁ~、私も親父さんも目指しているものは大体同じなんだけど」

「そこに辿り着くための手段が少し違っているからなんだよ」

「君と親父さんだってそうなんだろう」

「今、君はその事に気づいたんだろう」



僕は、しばし考えた

父のようになりたくて

父の背中だけを見て…

どうしても追いつけなかった自分がいる

そして今、途方にくれている自分がいる

同じ道の上を歩き

超える事だけを目標に頑張ってきた

正直、僕はまだ気づいてはいない



彼は僕の心を見透かしているように、こう話かけてきた

「君はこれから先、どうしたいんだ」

「親父さんが夢見てるものと同じものを夢見ているのかい?」

「もし、その夢が同じだったとしても同じ手段で実現させていくのかい?」

「君は親父さんのコピーなんかじゃないはずだろう」



僕は胸の奥を何かで突き刺される思いがした

そうなんだ

僕が今まで追って来たものは父であって

それは、父の見ている夢だった

じゃあ、僕の"夢"は何なんだろう

僕の頭の中は真っ白になった



「今夢見ているものがなければ、それはそれでいい…」

「大事なのは探すことなんだよ」

「自分で考え、自分で探す」

「それが、自分自身の抱く"夢"なんだよ」

「君は、そこにずっと立ち止まっていて、自分の夢を探せるのかい…」

彼は、そう言ってくれた



しばらく父の残して行った足跡を眺めていた僕は

顔を上に向けた

すると…、一陣の風が吹き

父の残して行った足跡を

砂が隠して行くのが分かる

今なら、まだ父を追えるかもしれない

でも、その未練は僕の心から消えていた



「やっと、その気になったようだな」

「これから君の歩いて行く場所は、君自身が決めなきゃならない」

「そして、一人で歩いて行くんだ」

「でも、これだけは憶えておいてほしい」

「一人で歩いていて壁にぶつかり」

「前を向いて歩けなくなった時…」

「君の周りには大勢の仲間がいるって事を・・・」

「その時、仲間は君を助けてくれる」

「そして、仲間が助けを求めている時」

「君は、放ってはおけないはずだ」

「なぜなら…方法や手段は違えども」

「君らは同じ場所を目指しているからだ」

そう…、僕の姿を見ていた彼が言った



僕の気持ちは既に吹っ切れていた

そして、ゆっくり振り返った

そこには風に吹かれて砂に消されかかっている

父と僕の辿ってきた足跡が残っている

今はただ…

しっかり心に刻んでおこう

目に焼き付けておこう…



「行くのかい?」

彼が小さな声で言った



「ええ…、俺にはまだ当てがないんですけど…」

「まず探しに行ってみます」

「何が見つかるか、何にも見つけられないかも知れないけど」

「ここにいたんじゃ、何にも見つけられない!」

「まずは歩きはじめてみます」

「そして、多くの仲間と出会い」

「多くの経験をして」

「まだ見ぬ夢を実現してみたいです」

「声をかけてくれてありがとうございます」

「おかげで目を覚ますことが出来ました」

「見ていてください」

「俺達は必ず…」

僕がそこまで言うと



「最後に一つだけ言っておこう」

「あのまま同じ夢を追っていたら、君は永遠に親父さんを追い越す事は出来なかったはずだ」

「自分の夢を見て、それを信じ、達成に向かって歩くことが大事なんだ」

「追い越すことなんかしなくていい、大事なのは自分の夢…」

彼が最後に僕に言った言葉だった



そして、ぼんやりと彼の姿が見えた気がした

それは、微笑んでいるように見えた

僕は、ゆっくりと前を向き直し

ゆっくり一歩目を踏みしめた…

父とは別のところを歩きはじめた



今までと同じ風が、少し爽やかに感じた






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